文庫。日常ミステリーという感じの作品。
作者は坂木司さん。
物語の語り部も同姓同名。
何でも覆面作家ということになっているようだ。
初めての文庫かな?
デビュー作だと言うし。
引きこもり探偵というあおりに惹かれて買ってみた。
実際には、通常の引きこもりとはちょっと違う。
母親に思いっきり捨てられ、ちょっとしたアダルトチルドレンな男が語り部の親友なのだ。
でも、心は優しいし、頭も良い。洞察力もある。
何よりもこの引きこもり青年は、誰かを大切にすることを知っている。
語り部坂木司を大事に思い、坂木の方も、探偵鳥井真一を一生手放せない思いで居る。多分彼の心に一番寄り添ってる存在というポジションを明け渡したくはないのだ。依存していると言い切るほど。
BLなら、持ちのロンで恋人同士設定だが、彼らの依存度は恋愛感情ではなく、もう、人として切り離せないような認識で。
ノンケ同士だから、肉体関係はないものの、実にこゆいプラトニックな関係なのだ。
言いぐさもすごいし、鳥井は美青年だしで、 もちろん坂木は鳥井より高身長。邪な乙女の腐った目にはもう、これは肉体になだれ込むしかないでしょう的ラブラブ関係なのだから楽しい。
ええと、ミステリーなので話の筋は書かないけど、とにかくお人好しの坂木が巻き込まれるたびに鳥井が推理して、坂木が傷つかないように解決していくのだ。とにかく動機は全て坂木のため。
それでいて、事件絡みで出会った人たちとともに二人も人として成長していく過程を辿る。人間的成長ね。
結構重たいことも言ってるのに、爽やかな読後感。
3部作出そろってハード(?)のほうがあるので、残り文庫を待つか大きい本を買っちゃうかちょっと迷ってる。
二人のその後を読みたいのはやまやまだが、重たい本は読み切れた試しがないのね。はあ……文庫……早くでないかなぁ。それが私的にはベスト。
でもでも、マジ面白いから。邪な本作っちゃいそうなほどだよ。
(ただし、小説じゃなくて漫画で)