掘り炬燵編 byあやかさん

それは、探求心から来るちょっとした好奇心だった。
 今、僕の目の前で譜読み後の充電として、昼寝を貪っている精悍な美貌の持ち主、桐ノ院圭はとてつもない絶倫男である。
 台所に立っている僕への悪戯。場所を選ばない睦言。入浴中に突然の乱入。
 僕が眠っているときでも、この絶倫男は人の躰をまさぐって起こしたりするわけで・・・
 それらの、彼にとっては『前戯』だそうな行為は、必ず『本番』に結びついてしまう。
 いや、別に嫌だって言ってるわけじゃないんだよっ。ただ・・・普通は、こんなに誘ってくる奴なんていないだろう?
 だから、僕も、その・・・やってみよう、と思ったんだ・・・眠っている圭にね、ちょっとしたイタズラを・・・・・・

 堀りごたつの堀に長い足を収めて、スヤスヤと規則正しい呼吸を立てて眠る圭の唇に、僕はそっとキスをおとした。
 起きる様子は・・・ないな。
 よし、実験開始だ。
 僕はそっと立ち上がり、泥棒のような足取りで、圭の足の方に回った。
 静かに掛け具を剥ぐと、圭の長い足が器用に折り畳まれている。
 圭の足に当たらないように細心の注意を払いながら、僕はそっと堀の中へ潜り込んだ。
 う〜ん、狭いけど・・・なんとかなるよな。
 布団の隙間から差し込むささやかな光を頼りに、僕は圭のズボンの股上部分を探り当てた。
 フックを外して、ゆっくりと慎重にジッパーを降ろしてゆく。
 下まで降ろし終えると、黒いブリーフが姿を覗かせた。
 夜には激しく怒張して僕を貫くものは、今はもちろん静かなものだ。
 下着ごしにチュッと口づけてみた。
 さすがに反応はない。
 僕の口元から、自然にふふっという笑みが洩れた。なんだかすごく面白い!
 僕は舌先に力を入れ、ケイの形をなぞり、くわえてみたりした。
 あっ、少し脈打った。感じてるのかな?
 イタズラだったはずなのに、圭が感じてくれたと思うと、嬉しくてたまらない。
 これじゃあ、イタズラにならないよな。
 そう思いながらも、ケイを愛でているという事実は、僕をセクシャルな気分にさせてしまって・・・
 僕は、遊戯を続けようと、下着に手をかけた―――――その時っ!
 「君が誘ってくれたということは、僕は遠慮をする必要などないのですよね?」
 布団ごしでもわかるにやけた声がっ!
 「けっ、圭っ!」
 僕は慌てて掘の中で後ずさった・・・はずだったのだが、まんまと捕まってしまい、圭の横に引き上げられた。
 「さぁ、悠季・・・続きを始めましょうか♪」
 このうえなく幸せそうな顔と声。
 「はぁ〜・・・僕が君になるなんて、ばかみたいなことだよね・・・」
  
 その後、僕は圭から倍(いや、倍以上か?)の「イタズラ」を受けた。

☆おわり☆

悪戯では、圭は負けませんよね。
これぞ飛んで火にいる夏の虫。