──ほしがるもの by冴木瑠荏さん
十二月半ば。
向かい合うようにテーブルにすわり、何気ない会話を交わす。
ただ、それだけで嬉しいのに、二人でいる時間をもっと欲しいと思うのは、僕だけの欲望なのだろうか。
ひとり寝が寂しいと言うよりも、人肌を覚えてしまった体はいつになく「悠季」と言う人物を求めていて、こうやって一緒にいられる時間を嬉しく思う。
そんな自分を子供っぽいと笑っていると、悠季はその愛らしい目で僕を誘惑した。
「…ね、ねぇ、圭」
向かい合う席で、俯きながら幾らか赤い耳が何を言うのかと思っていたら…。
「あ、あのさ………その、…キスをしても良いかな?」
想っている人と過ごしたいと思っていたら、あの悠季が自分から僕に同意を求めるなんて!
思ってもみなかった出来事ですね。
僕は内心、嬉しくてたまらないのを胸に秘め、渋い顔で悠季に言った。
「別に、構いませんが」
すると、悠季は僕の正面にまわって立ち僕の膝に座り込むと、首筋に手を回し引き寄せ、僕が君にする以上に甘いキスをくれた。
「…ん…」
舌を入れて、絡ませると悠季はその絡ませたものに絡むようなキスをくれる。
「どうしたんです?」
ふと、どうしてこんな自分から体をさしだすような事をしたのか聞いてみると、
「…君を好きだから、キスをしたいと思ったんだよ」
と、キスをし終えた後で、悠季は笑った。
「では、これは僕からのキスです」
悠季の首筋に噛みつくようなキスを落し、シャツを捲り上げ、抵抗を見せない悠季の胸へキスを散らす。
白い胸に咲く小さな花を摘み取るように舌で舐め、甘くかんだ。
「あ、痛ッ!」
そのしなやかな白い体を僕に見せつけ、時より反応を示す体は何よりも僕に対して奴隷と化している悠季そのもの。
もっと君がほしくて、さらに下腹部へキスを散らすと悠季は我を忘れて、快楽の狭間へ落ちてゆき、次第にうわずった声で僕を呼ぶようになる。
「け、けい…!!!」
「悠季、立って」
有無を言わずに、悠季を立たせ、先ほどまでの愛撫でもうカチカチなものに手を伸ばし、やさしく触れ口に含むとさらに悠季は僕を求めた。
「や、やぁ…け、けいっ!やだぁ…」
バイオリンを弾く、しなやかな白い指が時よりきゅっと髪をひっぱるのはその欲望をほしいという証拠。
いけませんよ、君が誘ってきたのですから。
「まだですよ、悠季」
ひざまずいていた体をおこし、その口をふさぐキスをする。
「う…んっ…」
舌を入れるキスを差し出すと、それを貪ってくれてさらに感じようと息が弾む。
心は既にここにあらずと言った感じで僕を見つめてくる瞳に、一体誰が映っているのだろう。
「…あん…けい…ほしいよ…」
そうやって、悠季は最後に自分をさらけだし僕を求める。
「だめですよ…悠季、まだですよ」
そういって、僕は悠季を抱きかかえ、ベッドへ移動し、息が弾んで涙目になっている愛しい悠季を抱きこんだ。
その抱きかかえと共に、悠季に入り込んだ途端、悠季はその喉から嬉しいような、淫乱な声を出した。
「は…はぅ…んっ!…け、けい!!!」
それでも、悠季は自分を辱め、その快楽に落ちた姿を思い出してはキスをすることで自分がここにいると言うことを認めている。
ですが…そんな君を、もっと我が物にしたい!とおもう人はここにいるんですよ。
「…ん…は、は、はぁ…け、けい……」
ぎゅっと締めつける感覚がさらに感じれるようになる。
「では、体を…えぇ、それで良いですよ」
差し出した腰を支え、悠季の欲しがっていたものをさらにより一層感じられるように与えると、甲高い声をだした。
「あんっ!」
もっと君を乱れさせたくて、腰を振ると悠季はそれに応じて「もっと!」と叫び、まるで娼婦のようにふるまい僕を狂わせた。
「悠季!悠季っ!もっと僕を求めて!そうやって僕をほしがって!」
「あ、あ、あ…け、けい……は、はぁ…イイよ…うんッ!はぅ…」
激しく打ちつけその声を堪能すべく、僕も悠季を愛し絶頂の狭間へ飛んだところで僕等はキスをして自分達を確認した。
ベッドの中でくるまるように、介抱していると柔らかい声音が僕を包みこんだ。
「…寒かっただろ?」
意識はまだあるようで、母親のように僕を気にしてくれる。
「いいえ。大丈夫ですよ。君は大丈夫ですか?」
「うん…平気だよ」
チュッとキスを交わし、お互いの暖かさを感じあう。
「──悠季、愛していますよ」
「…うん……」
二人で愛し合った時間は悠季の体に色濃く残っていて、その疲れからか悠季は安息な寝息をたて、僕の体に抱きつきながら眠りに入っていった。
その声は夢の住人にはもう届かなかったようだ。
でも、それでも構わない。
この腕の中には、愛した想い人がいるのだから──。
冴木瑠荏さん素敵なクリスマスプレゼント、ありがとう。
色々注文つけてごめんなさいね。
後は連載……よろしくお願いします^^。