30分
byあやかさん
場所:ペンシルマンション7階 桐ノ院部屋 バスルーム
時:悠季が火事のため避難してきているときだと思って下さい。
そう、みなさまが指摘していらした「桐ノ院、30分間バスルーム篭もり事件」。
あの時の彼のバスルーム内の様子を想像してみました。
こんな感じだったのかなぁ?(^^;)
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シャワーの水音が、僕を一人の世界に孤立させてくれる。
今は、この空間がひどく有り難い。
なぜなら僕のベットには、僕の最愛の人が眠っているから。
いや、「眠っている」ふりをしている。彼は今、僕の動向に全神経を傾けている
のだから。
同じベットで眠るからと言って、けっして甘い行為が行えるわけではない。
抱きしめることはおろか、指一本触れることさえ許されないのだ。
僕は理性や自制心といったことには、いささかの自信があったが、彼を目の前に、しかも共に夜を過ごすともなれば・・・そんなものは無いに等しい。
たった一度だけ、無理矢理な形で抱いた彼の躯。
今でも鮮明に思い出せる。いや、もう僕の身体の全てに彼が刻み込まれ、常に彼を貪欲なまでに欲している。
あぁ、僕がこんなふうになってしまうのは、悠季、君だけなのですよ・・・・・
悠季っ・・・悠季・・・・・・っ!
スッと指を梳き入れることのできるサラサラな黒髪、一つの曇りもない白い肌、鮮やかな色味を帯びた胸の突起、細く引き締まったウエスト、凄まじいほどの引力をもつ大きな瞳・・・・・・
その一つ一つを思い浮かべていたとき、ズキッという激痛が股間を走った。
「うっ・・・」と思わず呻く。
くっ、君のことを考えているだけでこんなことになってしまうとは、情けないですね。これも愛ゆえなのですが・・・
僕は自分の性器に手を伸ばし、根元から先端へ手をスライドさせた。こんな状態で悠季と同じ寝床に入るわけにはいきませんからね。
頭の中で悠季の名前を出した途端、またあの日の悠季がフラッシュバックしてきて、僕の欲望は激しく張りつめた。
シャワーの水音を上げ、手の動きを素早くしながら、悠季の名前を強く囁き続ける。
「悠季、悠季っ、うっ、くっ!・・・もうっ、イキますっ!」
手の中の欲望が弾け、白濁が散った。
後に残るのは達成感より罪悪感。
嫌がる想い人を力ずくで抱いた日のことを考えながら自分の性欲を処理するなど悠季に申し訳ない。
しかし、あのままの状態で悠季のもとへ行ってしまえば、きっと僕はあの日と同じことをしてしまっただろう。
強姦という最低の罪を、再び犯してしまっただろう・・・・・・
シャワーで事後処理をし、冷たい水に切り替えた。自分を戒めるために。
30分にもなってしまったシャワーを止める。
さぁ、これからは「やっとベットで眠れる」それだけを考えるんです。
僕は気を引き締めた。
桐ノ院はいつでもどこでも見栄張り男。
いえ、この場合、見栄より大事な案件がありましたね。
悠季の信用を取り戻す。大変大事な案件です。
エエ、武士はくわねど高楊枝ですわよ。